2010 年 2010 巻 608 号 p. 608_3-608_22
本稿では,新保険法に関する総論的課題として,次の3点を採り上げる。(1)新保険法では,保険契約の法的類型につき整理が行われたが,特に,傷害疾病定額保険契約(死亡給付の在るもの)と生命(死亡)保険契約間の規律の相違の合理性が,立法論的検証の対象となる。(2)新保険法が採用した規律の三分法(強行規定・片面的強行規定・任意規定)に関し,各規律の性格を具体的な解釈論を踏まえて解明する必要があるが,特に,強行規定につき,その多様化傾向と従来の契約法における議論からの一定の変質現象が検証される。(3)既にその解釈が先鋭に対立する論点についてのケース・スタディーから,保険法の一般的解釈方法論を抽出する。