2010 年 2010 巻 609 号 p. 609_117-609_136
本稿は,経済的には保険ではないにもかかわらず,保険法のある規整において特に「保険契約」として取り扱われる契約を取り上げ,そのことが法解釈にどのような影響を及ぼし得るかについて検討するものである。主観的に確定しているが不当利得が生じ得ない遡及保険類型を題材として検討した結果,保険法の他の諸規整が必ずしも自動的に適用される訳ではないこと,また,このような規整を発見するにあたり,当該規整が保険の経済的要件に整合的であるか否かを確認することが有用であることが確認された。