保険学雑誌
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「保険販売の今後を考える」―創立70周年記念大会シンポジウム―
ダイレクト損保の10年
北尾 敏明
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2011 年 2011 巻 612 号 p. 612_115-612_126

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抄録
本稿は,1997年の損害保険の自由化以降,急成長を遂げてきた自動車保険を主力商品とする通販系損保(「ダイレクト損保」)の過去10年間のマーケティングを振り返る。2009年度の通販系損保9社のマーケットシェアは,自動車保険全体の5.4%まで拡大している。ダイレクト損保の揺籃期のマーケティング手法は,テレマーケティングが主体であったが,その後,インターネットのeコマース技術を応用したWebマーケティングが成長の原動力となってきた。ダイレクト損保は,ここ10年間で保険料,事故対応コスト,営業コストのそれぞれにおいて,大手対比,大幅な引き下げを実現してきた。しかし,保険引受利益面では,保険料比較サイトによる価格競争の影響もあり,ビジネスモデルとして十分とは言えない。今後の10年間は,Webをさらに活用した新しい顧客サービスの開発競争が激化するものと予想される。
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© 2011 日本保険学会
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