保険学雑誌
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「保険販売の今後を考える」―創立70周年記念大会シンポジウム―
損害保険販売責任の法構造
大塚 英明
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2011 年 2011 巻 612 号 p. 612_55-612_71

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抄録
代理店チャネルの損害保険販売において,保険契約者に対する民事責任はどうあるべきか。それはおよそ次の4類型に分けられるのではないか。A類型:業法300条1項の説明義務違反をベースとし代理店に民法709条責任を負わせ,保険会社に業法283条の責任を負わせるパターン,B類型:信義則に基づく顧客保護義務違反をベースとし,代理店にのみ損害賠償責任を負わせるパターン,C類型:いわゆる「助言義務」違反をベースに,やはり代理店に損害賠償責任を負わせるパターン,そしてD類型:製販分離を前提に,保険会社に製造物責任的な構造の損害賠償責任を負わせるパターンである。AおよびB類型についてはすでに判決が存在し,比較的分析がし易いが,CおよびDの類型についてはこれまで必ずしも十分な法的位置づけが行われてはいないように思われる。したがって,本稿はあくまで試論にとどまる。
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© 2011 日本保険学会
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