保険学雑誌
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精神障害(うつ病)による自殺と保険者免責
長谷川 仁彦
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2012 年 2012 巻 616 号 p. 616_145-616_164

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抄録

保険法・保険約款で免責とされる「自殺」は,被保険者が故意に自己の生命を断ち死亡の結果を生ぜしめる行為であり,死亡者の自由な意思決定に基づきその者の身体動作により死亡の結果を来たすべきときを指すとされる。一方,精神病その他の精神障碍中または心身喪失中の行為による自殺は「自由な意思決定能力」を欠いたものであり免責事由には該当しないとするのが通説・判例である。
近時,自殺者のうち概ね1/3に当たる約1万人が精神疾患を原因によるものとされ,それらを原因とする自殺が全て意思決定能力を喪失ないし減弱したうえでの自殺とはいえない。しかし,精神疾患の一つであるうつ病によって行為選択能力が相当制限されたうえでの自殺は「自由な意思決定」を欠いていることになるので,免責となる「自殺」にはあたらないと考えられる。

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© 2012 日本保険学会
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