抄録
米国発の世界的な金融危機を受けて構築されてきた新たなグローバル経済のアーキテクチャーの中で,国際金融規制や国際保険監督規制は大きく変容しようとしている。各国は,このグローバルガバナンスが進化する背景にある世界の四つの大きな潮流に対応しながら,国家戦略に基づく経済政策・対外経済政策の展開,さらにはこれらと整合的な金融行政の実行を進めようとしている。日本の経済政策の重要な基盤である金融行政を担う世界有数の洗練された金融当局である金融庁は,「ベターレギュレーション」を掲げ,金融・資本市場の国際競争力強化に向けた金融行政の進化の方向性を明確にしており,国際社会の評価・期待も大きい。保険行政でも「ベターレギュレーション」の更なる展開を通じた,透明性の高い自己責任原則と法に基づく行政の実行が,日本経済の国際競争力強化にとって不可欠であり,持続的な経済成長の実現をめざす「アベノミクス」の成功の鍵を握るベンチマークとして国際社会が注視している分野である。