抄録
本研究では,中国における自動車保険需要の決定要因について,2002-2009年の間のパネルデータを用いて実証的に検討している。その結果,中国において,(1)所得,価格,損害額は自動車保険需要にプラスの影響を及ぼす,(2)各教育水準によって自動車保険需要への影響は異なっている,特に高等教育は自動車保険需要との間にマイナスかつ有意な関係がある,(3)既婚者の方がリスク回避度が高く,自動車保険需要への影響はプラスである,(4)生命保険需要とは異なり,扶養率は自動車保険需要にマイナスの影響を及ぼす,また,子供の扶養率より高齢者の扶養率の影響の方が大きい,(5)2006年7月1日から実施された「自動車交通事故責任強制保険」は,その後の自動車保険需要に強い影響を及ぼしていない,ことが分かった。