保険学雑誌
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保険募集規制改革の背景と意義
栗山 泰史
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2016 年 2016 巻 635 号 p. 635_1-635_20

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抄録

2016年5月29日に施行された改正保険業法は保険募集規制の抜本的な改革を主眼としている。保険業法は1996年に金融ビッグバンの一環として大きく改正されたが,その際に保険募集規制に関する改正は先送りされることになった。今般の改正によって,1980年代末に始まった保険制度改革の動きは遂に完結を迎えることになる。
新しい保険募集規制においては,保険募集人の義務として,意向把握義務,情報提供義務,意向確認義務,体制整備義務が法定される。これら義務の法定には3つの意義がある。第一に「対話をベースにした保険募集の開始」,第二に「代理店経営の高度化」,第三に「乗合代理店による比較推奨販売の本格実施」が実現することである。今回の規制改革によって,消費者は保険募集における「昔ながらの保険募集の方法」から解放され,適切な比較説明と推奨を含め,自らの意向に沿った保険への加入という本来有すべき権利を享受することになる。

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© 2016 日本保険学会
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