保険学雑誌
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【最新海外保険事情】特集
米国およびIFRSにおけるここ10年の生命保険会計の動向
栁田 宗彦
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2020 年 2020 巻 651 号 p. 651_1-651_24

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抄録

国際会計財務報告基準のIFRS17号「保険契約」は,プリンシプル・ベース,資産・負債アプローチ,公正価値評価の特徴を持っており,2023年から適用される見込みとなっている。IFRS17号はEUの経済価値ベースによるソルベンシー規制であるソルベンシーIIの影響を強く受けている。一方,米国において法定会計はプリンシプル・ベースの保険負債を導入することとしており,ここでも経済価値ベースが取り入れられようとしている。 保険会社のGAAP会計においても,伝統的保険の保険負債は基礎率をロックインとしてきていたが,長期契約について基礎率を見直す経済価値の要素が取り入れられようとしている。わが国においてはソルベンシーにおいて経済価値のフィールドテストが続けられてきているが,会計処理にまで取り入れるかはこれからの検討となっている。リスク管理の観点から,わが国の保険負債の評価に経済価値ベースを取り入れることを検討すべきであろう。

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© 2020 日本保険学会
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