2021 年 2021 巻 653 号 p. 653_89-653_117
MaaSがデータ基盤を基礎に成り立つことから,日本版MaaSを推進するためには,自動運転走行中にサイバー攻撃を原因とする事故が惹起された場合の人身事故救済を充実させて,MaaSの社会的受容性を高める必要がある。しかし,自動運転モードで走行中の自動運転車の運行に対しては自賠法が適用されない。そこで,新しい保険を創設する必要がある。それが自動運転事故傷害保険である。ところが,この保険では,サイバー攻撃を原因とする人身損害については保険者は免責される。この被害者救済の間隙は,サイバー保険に特約として付帯される MaaSサイバー保険を創設し穴埋めすることが適当である。この保険は,不定額給付型の傷害保険としての性格を有する。この保険でも,戦争その他の変乱に匹敵するサイバー攻撃を原因とする人身損害は保険者免責とされる。