保険学雑誌
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【コロナ禍における保険業の役割と今後の展開】特集
総合商社のリスクマネージャーが期待する損害保険業の機能と役割
―保険機能の追及と社会インフラとしての役割―
飯島 慶紀
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2022 年 2022 巻 659 号 p. 659_123-659_149

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抄録

損害保険業のバリューチェーンをリスク分析・評価,保険引受・条件設定,販売・証券発行等のオペレーション,保険事故査定・保険金支払の4つに区分し,フェーズ毎における損害保険業として不変的な機能と,今後の重要となる機能を示す。その後,保険契約者の観点から企業が損害保険を購入する動機と損害保険に求める本質的価値を考察し,企業は資本効率の高い保険商品を求めることを説明する。保険提供者・保険契約者のいずれの観点も踏まえた上で,積極的な情報発信を含むリスク分析・評価機能の強化,及び社会インフラとしての保険業の役割再定義や社員の意識変革が,損害保険業において更に重要な機能と役割になると考える。筆者は損害保険会社にて国内外の勤務を経て,現在,住友商事株式会社の保険リスクマネージャーとして勤務している。保険の理論と実務,保険会社の経営とオペレーション,売り手(保険会社側)と買い手(事業会社側),各観点における立場やスタンスの違い等,損害保険市場の現場を通じ,経験・体感した事実と学問としての保険学を昇華させ,損害保険業の機能と今後の目指すべき方向を示したい。

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© 2022 日本保険学会
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