2014 年 11 巻 1 号 p. 95-101
アルペンスキーのカービングターン時にスキーヤーが深く内傾した際,ターン内側の脚を屈曲させて抜重しターン外側のスキー板に体重をかけることを容易にするため,板にブーツの踵が完全には固定されないヒールフリーシステムの導入を試みた.先端部の蝶番を介して自在に傾動する傾動板と,ヒールリフト量を制限してスキー板と傾動板の開角度を制限する許容上昇高さ規制部材とによって構成されるスラッププレートを作製した.スラッププレートによりアルペン用のスキーブーツ,ビンディングを使用して,ターン内側の踵を上げ,ターン外側の踵は下げて板に荷重するテレマーク姿勢によるカービングターンが可能であった.プレートの捻れ強度や雪挟み等に問題点が見つかったが,改良を重ね,概ね解決することが出来た.今後,従来のビンディングシステムとの比較実験をすすめていく.