抄録
戦前から現在まで、発電や多目的用のダムが多くの河川に建設され、河川の濁りや水質、生態系に影響を与えてきた。それだけでなく、河口や周辺の海岸・沿岸海域に対する影響は10ないし数10年規模で顕在化きた。その主要なものは、砂泥の干潟域においては、ベントスの激減であり、開放型の海岸においては、海岸侵食である。これらの原因として、河口から海に流出する砂泥や、礫の量の減少は勿論であるが、粒径が小さくなったことが、質的・量的に大きく影響しているものと推測される。このことを、有明海の干潟域や熊野川河口周辺の砂礫海岸を例にして述べてみたい。