抄録
長良川河口堰問題を事例として、河川の環境問題に関わる陸水学的な情報の市民への伝達過程と世論形成への影響を明らかにするために、論文、著書、新聞記事などの公開された情報を編年的に収集、整理し、書誌学的な手法で議論の総括を試みた。論文件数、新聞記事掲載件数の総数は、ほぼ同じ増減パターンを示した。一方、キーワード毎の記事件数の推移は、それぞれ異なった時期に極大値を示し、争点の推移が明らかになった。この傾向は、該当する分野の論文数の変化に追随するものと考えられ、科学的な情報の提供が新聞記事に反映され、間接的に世論に影響を及ぼすものと考えた。