抄録
2002年5月から2003年4月にかけて,京都市内の流入・流出口のない小型人工池において植物プランクトンの季節遷移を観察した。6月から10月末にかけて,ラン藻Aphanizomenon flos-aquae var. klebahnii Elenk.が水柱全体に優占した。11月に入ると,本種による水の華は急速に衰退し,緑藻類の優占に代わった。定期的な調査の結果,Aphanizomenonの衰退には温度あるいはpHが大きく関与していることが示唆された。無菌株を用いた培養実験の結果,本種は11℃以下並びにpH7.1以下では増殖に不適であることが示された。これらの結果から,本種による水の華の形成並びに消滅は,温度とpHから予測できるものと考えられた。