抄録
河川の源流域における水質は下流に少なからず影響を与えるため、源流域における自然負荷の程度を明らかにすることは水系生態系の物質循環を考える上で重要である。本研究では四国に存在する河川の源流域において窒素の動態に関する定期的な調査を行った。その結果、讃岐山脈を流れる河川の源流域で1500_から_2800μg/lの非常に高いNO3-N濃度が観測された。その原因として少雨地域のために森林地下水中の酸性降下物の相対的な増加、乾燥に起因する土壌生態系の劣化が考えられ、降水が河川源流域の窒素負荷に大きく寄与していることが示された。