主催: 日本ロービジョン学会, 視覚障害リハビリテーション協会
【目的】視覚障害者の就労環境は非常に厳しく,一旦退職するとほとんどが再就職できな状況にある. 職業リハビリテーションの導入時期を明らかにするため,ロービジョンケアを求め受診した視覚障害者の就労状況を調べ,その結果を報告する. 【対象】2000年1月より2005年12月までに柳川リハビリテーション病院眼科にてロービジョンケアを行った18歳_から_64歳の332例(男性192例,女性140例)を対象とした.その原因疾患は網膜色素変性153例,半盲・半側失認30例,網脈絡膜萎縮17例, 視神経萎縮6 例,糖尿病網膜症15例,緑内障11例などであった.これらの就労状況を検討した. 【結果】対象者を職種別にみると三療は17名,農・林・漁業8名,生産工程・労務20名,専門・技術25名,サービス13名,販売16名,事務50名,管理7名,学生14名,主婦44名,その他4名で,無職の者は114名であった.そのうち実際に仕事に従事している者は172名(52%)で,休職中の者が46名(14%)であった.18歳_から_39歳の休職率は19%で,とくに男性では25%強と高く,40歳_から_54歳の休職率は14%、55歳以上では9%と低下していた.また無職の割合は年齢とともに増加する傾向があった. 【結論】視覚障害者は年齢とともに眼疾患が増悪するためか就労がむずかしくなっている.一方,若い働き盛りである者も休職に追い込まれており,適切なロービジョンケアが早期に必要で,それが職業リハビリテーションの導入となり仕事の継続につながっていくと思われる.