The Journal of Japan Society for Laser Surgery and Medicine
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Optical Phantoms and Numerical Calculation Methods for Biomedical Optics
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2020 Volume 40 Issue 4 Pages 330

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これまでに,生体内における光の吸収,散乱および蛍光などの「光と生体組織の相互作用」を利用した多くの医用診断・治療技術の創出と臨床応用が行われ,現在もなお,新しい発想に基づく診断・治療技術が生み出されており,光の医学応用は基礎と臨床の両面より飛躍的な発展を続けている.高精度かつ定量的な診断・治療技術の実現には,生体内の光の伝搬を理解し,適切な物理モデルを構築することが重要である.この物理モデルを基盤とし,診断・治療の対象となる組織や臓器の解剖学的構造,使用する光源,光の波長,検出器や光学素子の分光特性,光の照射・検出条件を考慮した数値計算モデルによるシミュレーションの結果から,計測値や治療効果の予測が可能となる.

光と生体組織の相互作用を記述する物理モデルや数値シミュレーションの妥当性を評価する上で,光学ファントムによる実験が有用である.光学ファントムとは,ヒトや動物などの生体組織や臓器と類似した光学特性値(吸収係数,散乱係数,非等方性パラメーターなど)を持たせた人工的なモデルの総称である.光学ファントムは,上記の物理モデル・シミュレーションに基づき製作した試作器やプロトタイプの性能評価,最適化,機器較正,安定性・再現性の評価においても有用である.現在までに多くの研究者が独自の方法で様々な光学ファントムを作成し,個々の研究において使用している.また,生体医用光学分野の国際会議SPIE Photonics West/BiOSにおいても光学ファントムに特化したセッションが設けられており,数値計算手法とならび,近年その重要性はますます高まりつつある.

そこで本特集を,生体医用光学における光学ファントム・数値計算手法をレーザー医学会の読者に紹介する目的で企画した.生体内の光の伝搬や光および音響波と生体組織の相互作用を解析するための物理モデルや数値計算手法,それらを利用した計測・イメージング手法および光学ファントムを用いた妥当性の検討を含む研究を国内の生体医用光学分野の研究者に解説頂いた.

本特集がレーザー医学をはじめとする生体医用光学分野における新しい診断・治療法の研究開発と臨床応用へ繋げる一助となれば幸いである.

 
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