The Journal of Japan Society for Laser Surgery and Medicine
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Laser Therapy in Veterinary Medicine
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2020 Volume 40 Issue 4 Pages 392

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1990年,犬の平均寿命は約8歳,猫は約5歳でした.その後,生活環境の改善,ワクチネーションの普及,獣医学の発展などにより,犬猫の寿命は大幅に伸び,2017年には犬は1.7倍の約14歳,猫は3倍の約15歳となっています.おそらく日本の犬猫の平均寿命は世界一ではないかと思われます.平均寿命の延長に伴って,ヒトと同様にがん,白内障,心臓病,腎不全などの病気をみる機会が増加してきました.特に犬については,10歳を超えると約4割にがんが発生しています.平均寿命の延長に伴いまして,動物の健康管理に関心を持つ飼い主も増加してきています.飼い主としては,安価で,安全で,効果がある治療に注目しています.レーザー治療はこのような飼い主の要望を満たす治療法と考えています.

獣医療におきましても,レーザー治療は1980年代から徐々に普及をし始め,2013年に獣医レーザー研究会が発足しました.現在会員数は423名となっています.翌年,本誌で「獣医療におけるレーザー診療」を企画していただきました.また,獣医学領域でのレーザー治療をより安全に行うために,レーザー医学会に準拠して,獣医師向けに基礎安全講習会を大阪大学の粟津教授にご尽力を賜り年に平均2回開催し,これまでに126名が受講されました.受講後の試験にも91名が合格されています.

今回の特集ですが,山田英一先生にはレーザーを用いた腸管吻合術を執筆いただきました.レーザーを用いたがん治療に関して,今本成樹先生には犬の乳腺腫瘍2例に対するインターフェロン併用でのレーザーによるがんの蒸散の症例報告,大崎智弘先生には猫乳腺腫瘍1例に対するNPe6封入不活化センダイウイルスを用いたPDTの症例報告,そして私が前回の続編としてインドシアニングリーン修飾リポソーム(ICG-lipo)と光を用いた癌治療の臨床結果を報告させていただきました.

獣医師はもとより,医学関係者にも一読していただき,今後の獣医学領域におけるレーザー治療の普及に向けたご指導ご鞭撻をいただければ幸いです.

最後になりましたが,このような企画を提案し,ご協力くださいました関係諸先生方に心より厚く御礼申し上げます.

 
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