The Journal of Japan Society for Laser Surgery and Medicine
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REVIEW ARTICLE
Non-invasive Measurement of Carotenoids in Human Eye and Skin
Akira Obana
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2021 Volume 42 Issue 2 Pages 64-70

Details
Abstract

カロテノイドは抗酸化物質で,酸化ストレスから生体を守る働きをする.網膜のカロテノイドは黄斑色素を形成し,心理物理学的方法,眼底反射光測定法,眼底自発蛍光分光法,共鳴ラマン分光法の4つの方法で非侵襲的に計測できる.加齢黄斑変性との関係が指摘され,ルテイン,ゼアキサンチン含有サプリメントの加齢黄斑変性予防効果が報告されている.皮膚カロテノイド量は反射光測定法で非侵襲的に測定できる.カロテノイド血中濃度と強く相関し,食事摂取量を反映するので食育に有用である.

Translated Abstract

Carotenoids, which are anti-oxidative agents, protect the human body from various oxidative stresses. Carotenoids exist as macular pigment in the retina and they are measured non-invasively by four methods; heterochromatic flicker photometry, fundus reflectometry, fundus autofluorescence spectroscopy, and resonance Raman spectroscopy. The relation between carotenoids and age-related macular degeneration (AMD) has been studied and the prophylactic effects of supplement containing lutein and zeaxanthin to AMD was reported. Skin carotenoids are measured non-invasively by reflectometry. They are highly correlated with blood concentration of carotenoids and the measurement of carotenoids is useful for food education since it reflects dietary intake.

1.  はじめに

カロテノイドは植物や海藻,微生物が産生する天然色素で,自然界には約1,000種類が見つかっている.カロテノイドは一般に8個のイソプレン単位が結合して構成されたC40H56の基本骨格を持つ(Fig.1).9~10個の共役二重結合が抗酸化に働き,酸化ストレスによる老化や発がんを抑制する.ヒト体内では約30種類のカロテノイドが確認されている.カロテノイドは体内で合成されないため経口摂取を必要とする.一般的に緑黄色野菜に多く含まれ,ニンジンのβ-カロテン,ホウレンソウのルテイン,パプリカのゼアキサンチン,トマトのリコピン,みかんのβ-クリプトキサンチンなどが有名である.生活習慣病予防のための一日の野菜摂取推奨量は350 gだが,厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査」では,すべての年代で男女を問わずこの推奨量を満たしていない(平成30年度国民健康栄養調査では平均269.2 g/日).とくに若年者の摂取不足が顕著である.カロテノイド以外にもビタミン,ミネラル,食物繊維を多く含む野菜は,がん,脳卒中,心筋梗塞の予防に有効とされ,野菜不足を解消しこれらの疾患が抑制できれば,健康寿命の延長と医療費抑制に効果的である.

Fig.1 

Molecular structure of lutein

2.  眼球に存在するカロテノイド

光受容器である眼は常に光酸化ストレスを受ける.短波長光ほど単一光子当たりのエネルギーが高いため生体への作用が強い.角膜・結膜・水晶体には紫外線が,網膜には可視光線(380~780 nm)の中でもブルーライト(380~500 nm)がフリーラジカルや一重項酸素を産生しやすく組織に障害を及ぼす.しかし,眼は光障害を抑制する機構を有する.その一つが黄斑色素と呼ばれる黄色色素で,網膜の中央部に多く存在し,光のレセプターである視細胞を光酸化ストレスから守っている.水晶体にはルテインが含まれ,ビタミンCなどとともに光障害を抑制している.その他,ブドウ膜にもルテインの存在が確認されている.

2.1  黄斑色素とは

網膜中央の直径1.5~2 mmの部位を黄斑とよぶ(Fig.2).この部位が黄色く見えるのは黄斑色素があるからで,その成分はキサントフィルに属するルテイン((3R,3'R,6'R)-β,ε-カロテン-3,3'-diol),ゼアキサンチン((3R,3'R)-β,β-カロテン-3,3'-diol),メソゼアキサンチン((3R,3'S)-β,β-カロテン-3,3'-diol)の3種類である2,3)

Fig.2 

Fundus photograph of the left eye. Dotted-circle indicates the macula. The center of the macular forms umbo clinically called fovea. Cone cells concentrate in the fovea which is important for vision. Inset is a section specimen of the macula of monkey eye (modified from Snodderly1)). Yellow pigments represent macular pigment. Macular pigment locates at the superior layer of photoreceptor cells and absorbs blue light transmiting to the photoreceptors.

経口摂取されたルテイン,ゼアキサンチンは小腸で吸収されてから主に高比重リポたんぱく質(HDL)に結合して輸送され,脈絡膜毛細血管から網膜色素上皮細胞を介して視細胞外節に取り込まれた後,特異的結合タンパクに結合した形で網膜内に蓄積する.なお,メソゼアキサンチンは一般的な食品中には含まれず,網膜色素上皮細胞内でRPE-65酵素によってルテインから変換される.これらが神経細胞内に存在するのか神経膠細胞であるミュラー細胞内に存在するのかははっきりしていないが,最近の我々の研究からはミュラー細胞内に存在する可能性が高い4,5).網膜全体に存在するが,特に中心窩のミュラー細胞と内外網状層に多く集積する(Fig.2).ただし,色素分布を3次元的にみると,中心窩にもっとも多く周辺に向かって減少する一峰性のパターンや,中心とその周囲にピークを持つ二峰性パターン,平たん型,中心窩陥凹型など個体差がある.我々は中心窩陥凹の形態が分布パターンに関係していると考えている6)

2.2  黄斑色素の役割

2.2.1  フィルター作用

ルテインの光吸収ピークは460 nmで,ゼアキサンチンのピークはそれよりやや長波長側にある.網膜の深層に存在する視細胞よりも表層側に存在することで,視細胞に到達するブルーライトを効率よく吸収し,いわば網膜内にあるサングラスと言える.例えば,我々の研究(平均年齢40.2 ± 9.0歳)で中心窩から0.25°の位置の黄斑色素光学密度は0.51であるが,この場合,この部位では69%の青色光がカットされることになる.

2.2.2  抗酸化作用

カロテノイドの共役二重結合は活性酸素やフリーラジカルのエネルギーを吸収して熱に変換する.ルテインの一部は視細胞外節に存在し,視細胞や色素上皮細胞で生じた活性酸素等の消去に働くと考えられる.

2.2.3  コントラスト感度の向上とグレアの軽減

網膜内の青色光散乱を抑制することで,白黒や色味の識別能を上げて物がくっきり見えることに役立つ.また,光を見たときのにじみやまぶしさ(グレア)を抑制し,見え方の質の向上に役立つ.

2.3  黄斑色素密度の測定

色素量は光学密度optical density(吸光度)で表す.入射光強度I0,出射光強度IとするとLambert-Bearの法則(I = I0e−αx,αは測定光に対する色素の吸収係数,xは色素の厚み)から,光学密度=−log10(I/I0)=−log10e-αxとなる.正確には光学密度は吸収,散乱,反射のすべてを含むので吸収のみではない.測定方法は原理的に4種類に分けられる.それぞれの特徴をTable 1に記す.

Table 1  Methods to measure macular pigment optical density
type Advantages Disadvantages Instrument
Heterochromatic Flicker Photometry (HFP) Subjective • Low light intensities
• Non-mydriatic
• Inexpensive
• Time consuming
• Limited to measurements at a few eccentricities
• Difficult or impossible to perform for elderly and subjects with pathology
Macular pigment screener MPS2® (M.E. Technica, K.K)
Fundus Reflectometry Objective • Imaging of pigment distribution
• Quick examination
• High light intensity
• Affected by cataract
• Attenuation by light scattering in the retina
• Difficult to perform for subjects with pathology
• Mydriatic
VISCAM® (Carl Zeiss, Co., Ltd)
RetCam3® (Clarity Medical System Inc., Pleasanton, CA)
Fundus Autofluorescence Spectroscopy) Objective • Imaging of pigment distribution
• Quick examination
• High light intensity
• Affected by cataract
• Difficult to perform for subjects with pathology
• Mydriatic
SPECTRALIS-MPOD module (Heidelberg Engineering, Inc.) (unapproved)
Resonance Raman Spectroscopy Objective • Highly specific
• Absolute measurement
• Quick examination
• Affected by cataract
• Mydriatic
No commercial products

2.3.1  心理物理学的方法 Heterochromatic Flicker Photometry(HFP)

黄色を凝視した直後に青色をみると視野の中央に赤紫色の暗点がみえる.これをMaxwell’s spotという.黄色視によって中・長波長感受性錐体機能が飽和して短波長(青色)感受性錐体機能だけが残った状態(青に敏感な状態)で青色をみた時,青色光は黄斑色素に吸収されて暗く感じる.この原理を発展させ,黄斑色素に吸収される青色光と吸収されない緑色光の自覚的な明るさの差から色素密度を計算する.緑と青を交互に点灯すると,青は黄斑色素で吸収されて減弱するので明るさに差ができ点滅を自覚する.徐々に青の強度を上げると,青と緑の自覚的強度が同じになり点滅を自覚しなくなる.これが等輝度点である.さらに青を強くしていくと,今度は緑を暗く感じてちらつきを自覚する.ちらつきは周波数に依存し,低周波数(遅い点滅)では明るさの差が小さくてもちらつきがわかるが,高周波数(早い点滅)ではわからない.そこで,明るさと周波数を変化させて等輝度点を求める.黄斑色素スクリーナーMPS2(エムイーテクニカ)が国内で販売されている(Fig.3).465 nmと518 nm光を使用し,中心窩から0.5度の部位の色素密度を測定できる.詳細は既報7)参照.欧米ではMacular Metrics II densitometer(Macular Metrics, MA, USA)が多く使用されている.こちらは460 nmと539 nm光を使用し,0.25,0.5,1.0,1.75度の4点の色素密度を測定できる.両機種の測定値は高い相関を示すが,同一値にはならないので両機種に互換性はない8).被検者の理解と協力を要するので,特に高齢者では測定不能例が多くなる.

Fig.3 

Macular pigment screener MPS2®

2.3.2  眼底反射光測定法(Fundus Reflectometry)

青色光を眼底に投射した際の強膜反射光は,黄斑色素によって励起光と反射光の両方が減弱する.黄斑の反射光強度をImin,周辺部の強度をImaxとすると,MPOD = −1/2log(Imin/Imax)となる.反射光が散乱によって減弱する分,真の値より低値になる欠点がある.白内障などの中間透光体に混濁があれば正確な測定が行えないので,主に,新生児や小児への使用に適する.VISCUM200,500(カールツイスメディテックジャパン)が販売されていたが,現在は製造終了になった.我々は未熟児の眼底撮影装置RetCam3®(Clarity Medical System Inc., Pleasanton, CA)の青色光撮影写真から色素密度を測定している(Fig.49,10)

Fig.4 

Examination of macular pigment on a premature baby using RetCam3®. Right is a distribution image of macular pigment. The central protrusion indicates the area having much pigment.

2.3.3  眼底自発蛍光分光法(Fundus Autofluorescence Spectroscopy)

網膜色素上皮細胞にあるリポフスチン色素は400~590 nm(ピークは490~510 nm)の光を吸収して,520~800 nm(ピークは590~630 nm)の蛍光を発する.青色励起光の自発蛍光写真は黄斑色素の存在部位が励起光の吸収により暗くなる.緑色励起光は吸収されないので均一な明るさになる.両者の差分の対数をもって色素の光学密度を求める.スペクトラリスOCT(Heidelberg Engineering, Heidelberg, Germany)に2波長自発蛍光分光法を用いた専用測定モジュールがあるが,臨床使用未承認である(Fig.5).当科の装置は486 nmと518 nmの2波長を使用している.結果は色素分布画像と中心から任意の距離の同心円上の平均吸光度が得られる.当科では中心から9度(約2.7 mm)の部位を色素がゼロとみなす基準点にしているが,施設により6度や7度を採用するなど決まりはない.本装置の精度をMacular Metrics II densitometerと比較したところ,アジア人の色素の多い眼でも正確に測定できることが示された11).この方法の欠点は加齢黄斑変性のようにリポフスチン分布の不均一な眼では測定が難しいことと,白内障などの中間透光体混濁の影響を受けることである.我々は白内障の影響を補正する方法を報告したが12),さらにAIによる補正法を検討している13)

Fig.5 

SPECTRALIS OCT® equiped with a module for macular pigment measurement (left). Macular pigment optical density is obtained by a logarithmic subtraction of autoflurescence image by 468 nm excitation (upper middle) from the image by 518 nm excitation (upper right). Green circle indicates the reference area at 9° eccentricity from the fovea, and red and purple circles indicate 0.25° and 2° eccentricities from the fovea, respectively (lower right). Macular pigment distribution image from 0° to 9° eccentricities (lower middle). Red line indicates the mean macular pigment optical density at the given radius around the center. Green bars indictae standard deviations and blue bars indicate maximum and minimum values.

2.3.4  共鳴ラマン分光法(Resonance Raman Spectroscopy)

カロテノイドに青色光を照射すると,3つの原子間結合(C-CH3, C-C, C=C)に起因する散乱光の波長シフト(波数1,008 cm−1,1,159 cm−1,1,525 cm−1)を生じる.この波長がシフトしたラマン散乱光は物質固有であり,その強度からカロテノイド密度を評価できる14).カロテノイド自体の信号を測定することから特異度が高く,加齢黄斑変性にも応用できるが,信号が微弱で測定が難しく市販機はない.

2.4  黄斑色素と加齢黄斑変性

2.4.1  加齢とともに減少する黄斑色素

黄斑色素の分布パターンや色素量は個人差が大きい.色素量に影響する要因として,カロテノイド摂取量,性別(女性が少ないとの報告が多い),虹彩色素の量(薄い個体は低値),喫煙歴(喫煙者は低値),胴回りサイズ(肥満者は低値),中心窩陥凹の形態などが挙げられているが,これらは差の25%程度を説明するもので,大半の要因は不明で,結合タンパクの多寡や遺伝要因の関与が大きいとされる.また,年齢の影響も未だ一致した見解がないが,最近は加齢により減少するという意見が多く,我々の共鳴ラマン分光法を用いた健常日本人の測定でも加齢に伴い黄斑色素量の減少がみられた.

2.4.2  加齢黄斑変性の黄斑色素

摘出眼による研究では,加齢黄斑変性眼の中心3 mmのキサントフィル量は健常眼の63%との報告15)がある.共鳴ラマン分光法を用いた我々の研究16)でも加齢黄斑変性は健常者より黄斑色素量が有意に少なかった.色素の低値が原因か結果かはわからないが,病態進行の要因になる可能性がある.

Age-related Eye Disease Study(AREDS)の調査17)では,食事アンケートからルテイン,ゼアキサンチン摂取量を判定し,ルテインおよびゼアキサンチン最高摂取群(中央値3.5 mg/日)は最小摂取群(同0.7 mg/日)より,滲出型加齢黄斑変性のオッズ比が0.65,萎縮型加齢黄斑変性のオッズ比が0.45であったと報告されている.また,ルテイン,ゼアキサンチン,ビタミンC,ビタミンE,亜鉛,銅を組み合わせたサプリメントの投与により,食事によるルテイン,ゼアキサンチンの最低摂取量群においてサプリメント摂取群が対照群より加齢黄斑変性発症率が有意に低値であったことから,加齢黄斑変性の予防に有用と考えられている18)

3.  皮膚に存在するカロテノイド

ヒトの皮膚には紫外線やブルーライトから皮膚を防御するためのカロテノイドが存在する.眼球と異なり多種類のカロテノイドが存在し,カロテン類のα,β,γ,δ-カロテンとリコピンが多く,キサントフィル類のβ-クリプトキサンチン,ルテイン,ゼアキサンチンは比較的少ない.

3.1  皮膚カロテノイド測定の意義

野菜・果実摂取が健康の維持・増進に有益なことは明らかだが,前述のごとく国民の野菜摂取は十分とは言えない.マスコミ,自治体,企業イベントなどで野菜の重要性が紹介されているにも関わらず多くの人が野菜不足になっている.また,栄養教育・指導により野菜摂取が一時的に増加しても継続が困難なことがわかっている19).これらの要因の一つとして,自分の摂取量が適正か否かがはっきりわからないことが挙げられる.野菜摂取の評価は,栄養士による食事内容の分析や血中カロテノイド濃度の測定によって行われるが,前者は時間と労力を要し,後者は侵襲と費用の問題からだれでもが受けられる検査ではない.

経口摂取されたカロテノイドは血中に入り皮膚に集積する.カロテノイド摂取量(野菜・果実摂取量)は血中カロテノイド濃度と強く相関し,血中濃度は皮膚カロテノイド密度と高い相関を示すことから,皮膚カロテノイド測定は血液検査の代替として野菜・果実摂取量評価に有用となる.

3.2  光学的皮膚カロテノイド測定法

皮膚カロテノイド測定装置としては約20年前からラマン分光法を使用した装置(Biophotonic Scanner, Longevity Link Corporation, Salt Lake City, UT)が市販され,栄養学分野やサプリメント販売促進に使用されている20).この方法は特異度が高いが,微弱なラマン信号を検出するために高出力の狭帯域励起光,高解像度分光器,高感度検出器を必要とし,やや大型で価格も高い.これに対して反射光分光法を使用した小型で低価格の皮膚カロテノイド測定装置,ベジメータ®(Longevity Link Corporation)が開発された21)(Fig.6).本装置は487 nmLED光源を使用する.皮膚で青色光の吸収体は主に酸化・還元ヘモグロビン,メラニン,カロテノイドである.励起光がこれらのchromophoreで吸収された後の反射光強度を測定する(Fig.7).ベジメータ®は指尖のカロテノイドを測定するが,その際にヘモグロビンの影響を除くため,測定時に指尖を圧迫阻血する.また,メラニンの影響は分光により取り除かれる.ラマン分光法より特異度は低いが,ベジメータ®の測定値は血漿カロテノイド濃度と高い相関を示し(相関係数0.81,p < 0.001),繰り返し精度も高いことが証明されている.測定時間は10秒で,手軽に,非侵襲で測定できるメリットは非常に大きい.国内では㈱アルテックが輸入販売代理を行い,現在,医学・栄養学研究機関,食品関係企業,自治体等での野菜摂取と健康維持に関する研究や食育に使用されている.我々は国内で最初にベジメータ®を使用した臨床試験を行い日本人の基準値を検討した22)

Fig.6 

The appearance of Veggie Meter®. Skin carotenoid levels of the finger tip can be objectively measured in a non-invasive rapid fashion using a reflection spectroscopy approach

Fig.7 

Aborption spectra of the major choromophores in the skin (left). Schematics of pressure mediated reflactance spectroscopy. Blood is pused away from skin surface by the convex contact lens with the help of a spring-loaded lid. The device uses LED (maximum peak; 489 nm).

3.3  皮膚カロテノイド測定の応用

ルテイン含有サプリメントの効果をベジメータ®とスペクトラリスの黄斑色素測定モジュールを使用して検討した23).健常人にルテイン20 mg,ゼアキサンチン4 mgにビタミンC,ビタミンE,亜鉛,銅を含むサプリメント(オプトエイドML,わかもと製薬,東京)を4か月間投与したところ,皮膚カロテノイド量は4週後から有意な増加を示し,投与終了まで徐々に増加した.一方,黄斑色素は8週後から有意な増加を示した(Fig.8).血中カロテノイドの網膜内集積量は少ないため,皮膚よりも効果発現に時間がかかると考えられた.このように血中濃度測定の代替として皮膚カロテノイド測定は有用である.

Fig.8 

Changes in mean skin carotenoid levels (left) and macular pigment optical volume (right) after supplementation. Mean carotenoid levels at week 4, 8, 12, and 16 are significantly higher than that at baseline. Mean macular pigment volume at week 8, 12, and 16 are significantly higher than that at baseline. Bar represents standard deviation (modified from Obana A et al. 23)).

我々はいくつかの健康イベントやドラッグストアでベジメータ®測定会を行っているが,参加者に野菜不足の気づきを与えることは有益で,自身の状態を知り,また,他者と比較することで野菜摂取意欲が形成される.さらに,繰り返し測定はモチベーション維持に有効と考えられ,今後はさらにベジメータ®活用の場を広げ,国民の野菜不足解消に役立ちたいと考えている.

4.  おわりに

カロテノイドは生体に有害な青色光を吸収するとともに抗酸化作用をもち,光による酸化ストレスを受けやすい眼と皮膚では,その恒常性維持に重要な働きをしている.黄斑色素と加齢黄斑変性などの疾患との関連が研究されており,色素量を正確に測定することの意義は大きい.また,皮膚カロテノイドは野菜・果実摂取量をよく反映することから,皮膚カロテノイド量の計測は摂取量の評価に使用できる.反射光測定法により簡単に測定できる装置が開発されたので,今後,野菜・果実摂取と健康維持・疾患予防に関する研究がさらに進展することが期待できる.

利益相反の開示

利益相反なし

引用文献
 
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