著者は30歳の女子に於る左鋤横膈膜-Relaxatioの一例をレ線學的に観察し得れり.本症は臨牀的所見のみに依つて診斷を下す事は困難なれ共, レ線學的檢査を加ふる事に依つて比較的容易に診斷し得られるものである.然してこの際次の如き事項に注意を拂はねばならない.郎ち横膈膜弧線の性状, 弧線の呼吸的移動, Paradoxe Bewegung矛盾運動, 種々の體位及消化管充滿状態に於ける弧線の變化, 二重弧線, 胃泡と肺影像の關係, 心臓の右方轉位, Kaskadenmagen瀑状胃, 横膈膜に對する電氣的刺戟, 氣腹法, 縱膈膜の呼吸性移動等に就て觀察せねばならぬ.
更らに著者は本症の豫後, 豫防に就て述べたり.