昭和医学会雑誌
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カニクイザル足筋の筋線維構成について
―ヒト足筋ならびにサル・ヒト手筋との比較―
鈴木 雅隆猪口 清一郎中西 弘阿尻 貞三木村 忠直松本 祐二
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1982 年 42 巻 6 号 p. 737-746

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抄録

カニクイザル成獣 (7.2kg, 雄) の足筋について, その筋重量, 筋線維数ならびに筋線維の太さを計測し, 先に同じ方法で行ったヒト手足筋およびサル手筋と比較して, サル足筋を中心とした筋線維構成の機能的相違を検討した.組織標本はセロイジン包埋, H・E染色によった.結果は次の如くである.1.サルおよびヒトの手足筋の筋重量および筋線維数の総計はサル手<サル足<ヒト手<ヒト足の順で, サルでは前脛骨筋よりも優ることはなかった.しかし, 足の屈筋と伸筋を除いた固有足筋と比較すると, 筋重量ではサルは足>手, ヒトは足=手, 筋線維数ではサルは足=手, ヒトは足<手であった.2.サル足では母指内転筋とそれに対応する筋の発達が見られ, それらの筋線維径も大であった.3.サル手では指の集束に働く筋の発達が見られ, それらの筋線維径も大であった.4.ヒト足では縦横方向の弓形成に関与する筋の発達が見られ, 縦弓形成に関与するものでは筋線維径の発達が著しかった.5.ヒト手では母指内転筋とそれに対応する筋の発達が見られたが, 筋線維径は一般に中型か小型であった.

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