昭和医学会雑誌
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Hemiballismの責任病巣と予後について
―CT像にて前頭頭頂葉に病巣が認められた一例の報告と考察―
川畑 信也本多 虔夫
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1983 年 43 巻 4 号 p. 533-537

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抄録
83歳女性に脳硬塞後右上下肢のHemiballismが出現した.入院時右上下肢のHemiballism, 失見当識独語, 徘徊, 不穏, 右上肢の深部反射消失が認められ, 少量のレゼルピン投与にて第18病日目に不随意運動は完全に消失し退院となった.CTスキャン上, 左前頭頭頂葉に低吸収域を認めたが, 視床下核には明らかな病変は認められなかった.従来Hemiballismの責任病巣としては視床下核 (Luys体) が強調されてきたが, その他の部位の侵襲によっても同症状が起こることが議論されており, 本症例もその事実を裏付けるものであると考える.また予後も以前は不良と思われていたが, 近年予後良好な症例の報告も散見され, 本例も予後良好な一例と思われる.Hemiballismの責任病巣, 予後に関して文献的考察を加えたので報告する.
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