抄録
膝半月板損傷の重要な診断法のひとつに関節造影がある.しかし, 造影された画像を正しく読影するにはある程度熟練を要する.今回半月板単独損傷として手術された54例の, 術前関節造影所見と手術所見とを比較し, 読影時どんな点が見誤りやすいかを, 内側半月板と外側半月板との差, あるいは断裂型による差などについて検討した.54例のうち, 誤読もしくは判読困難な例は9例あった.その判読困難な例は, 断裂面が複雑な形態を示す場合 (バケツ柄状断裂, 縦断裂) と, 逆に断片があまり転位しない場合 (半月辺縁剥離) とにみられた.画像の診断率を高めるには, 造影法と読影法の画一化が重要である.