昭和医学会雑誌
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軽症IgA腎症におけるクレアチニン値の臨床病理学的意義
圓谷 徹彦小林 健嗣新保 秀光朴 正佑赤木 太郎戸塚 大輔柴田 孝則斉藤 研一内田 潤北沢 孝三伊藤 正吾杉崎 徹三
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1989 年 49 巻 6 号 p. 528-536

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抄録

今回の研究の目的はIgA腎症の臨床ならびに病理学的所見が腎生検を施行した時点で正常範囲内のクレアチニン値 (0.7~1.4mg/dl) と相関するか否かについて検索することである.IgA腎症の88症例 (男性44例, 女性44例) 中男性33例と女性44例がクレアチニン値正常であり, 男性11例が1.5mg/dl以上を示した.正常範囲内のクレアチニン値は収縮期血圧, 総コレステロール, 尿酸, クレアチニンクリアランス, PSP値と相関を示したが, 拡張期血圧, IgA, C3, C4値とは相関を示さなかった.腎切片上の病変領域の定量分析により正常範囲内のクレアチニン値は糸球体の半月体面積や尿細管間質病変の拡がりと相関していたが, ボウマン嚢, 糸球体係蹄, メサンギウム領域の拡がりとは相関を示さなかった.このようにクレアチニン値が正常範囲内でも予後を推測するに有効であることが示された.

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