認知症の有病率は加齢とともに増加する。超高齢社会を迎え、今後、認知症患者は増加の一途をたどる。認知症はアルツハイマー病を中心とした神経変性疾患を主体とする症候であるが、社会的には行動心理症状(BPSD)が大きな問題となる。しかしBPSDは薬物療法よりも環境整備が重要であり家族、介護者のみならず地域全体で見守っていく体制が構築することが求められている。本年1月に厚生労働省より新オレンジプランが公表された。これは認知症の方も住みなれた場所で最後まで暮らせる事を目指した地域包括ケアの新たな提言である。認知症の予防、診断、治療を推し進めるとともに地域で認知症患者を支えていくためには見守りシステムや介護者支援をも含めた認知症への理解が医療職以外へも浸透させるのみならず学校教育でも展開されることが期待されている。当セッションでは医工学が認知症のあらゆる場面で重要であるかを概観したい。