2016 年 54Annual 巻 26AM-Abstract 号 p. S49
光線力学的療法(Photodynamic therapy:PDT)は光感受性物質が集積した腫瘍細胞に対し、半導体レーザ装置(波長664nm)を照射し活性酸素を発生させ、局所的に殺細胞効果を生じさせる治療法である。東京女子医科大学では悪性脳腫瘍患者に対するPDTを54症例実施してきた(2016年1月6日現在)。レーザ装置は多社の手術顕微鏡に搭載可能である一方、レーザ照射軸は対物レンズ光軸に従うため、深部領域や角度のある腔への照射が困難であり目標照射範囲に対する全網羅的な照射は難しい。本研究ではPDT治療の効率化、および高精度化を支援すべく手術顕微鏡の光軸に依存しないPDT照射ユニットの機能試作機を実施した。照射プローブは内径2mm、長さ200mmの中空パイプ導入しレーザガイドに従い調整される。レーザガイドは一辺60mmとする正三角形の各頂点に配置されており、プローブ先端から25mm下でラインレーザが一点に交わるように三角錐状に傾斜をつけ固定されている。これよりレーザガイドの焦点が一点に集束するように照射位置を調整できる。臨床使用のためにプローブ挿入部は滅菌ドレープおよびプラスチックカバーを装着し滅菌使用できる設計とした。全ユニットは手術台レールに多自由度デバイス把持器を用いて固定する。当該デバイスの基礎的機能検証としてレーザガイドによる照射位置ガイドの精度評価検証を実施し、滅菌カバーによるレーザガイド光の屈折、位置決め精度に及ぼす影響等を検討した。