生体医工学
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抄録
睡眠深度推定のための生体情報処理に関する研究
濱田 遼平坂田 誠一郎岡田 志麻
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2016 年 54Annual 巻 28PM-Abstract 号 p. S351

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抄録

人間は人生の約1/3もの時間を睡眠に費やしており,睡眠は生命維持のために必要不可欠なものである.睡眠に問題があると日常生活に様々な悪影響をもたらす.このため睡眠問題に焦点を当てる必要がある. 現在,睡眠深度の計測法として,PSG(Polysomnography)検査がある.しかしこの方法は脳波や眼球運動を計測するため,被験者に対して拘束性が高くなり,大きなストレスがかかる.そこで,被験者に対し無拘束かつ非接触で睡眠深度を計測できるシステムの開発が必要となっている.本研究では電波センサを用いて無拘束非接触に睡眠計測が可能なシステムの開発を目指す.被験者8名に対し,電波センサを用いて,無拘束,非接触に体動,呼吸振幅,呼吸周期を取得する.取得した体動,呼吸振幅,呼吸周期に対して変動や移動平均を用いて睡眠深度推定に有効なパラメータを算出する.次に,被験者7人に対し算出した体動,呼吸振幅,呼吸に関連するパラメータを説明変数,同時計測した睡眠深度を目的変数とし,マハラノビス距離による判別式を構築,残りの 1人の被検者に対して睡眠深度を推定する.結果は,呼吸振幅,呼吸周期は,少し前の状態と現在の状態の変動を用いたパラメータ,体動は3秒間の移動平均を用いたパラメータが有効であることが確認できた.これらのパラメータを用いた場合,安静覚醒の状態判別は約70%の正答率となり,睡眠深度推定に必要な精度を示すことができた.

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© 2016 社団法人日本生体医工学会
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