生体医工学
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抄録
ラットBMIモデルにおける脳深部電気刺激に関する検討
須藤 直紀深山 理阿部 裕輔満渕 邦彦
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 141

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本研究ではラットモデルを用いるBMI実験系において、実験効率向上のためにラットの歩行頻度を変化させることを想定し、ラットの歩行動作に対して自動的に報酬刺激を提示するシステムを構築した。ラット脳の外側視床下部に刺激用電極を留置し、また実験中にはラット頭上にLEDを配置した。実験フィールド上方のカメラでLED位置を取得し、これをラットの位置座標として歩行状態の判定を行った。実験は15分を1区間として1回に4または6区間を連続して行い、区間ごとに歩行に対する電気刺激報酬の有無を交互に切り替えた。4匹のラットについて各2回の実験を行った。歩行に対して電気刺激が与えられる区間において、ラットが一か所に留まり続ける時間が減少し、歩行頻度が上昇する傾向が見られた。個体によっては、電気刺激を得るのに十分な程度に頭部のみを動かす行動が見られた。刺激終了後の行動にその他の変化や異常は見られなかった。電気刺激報酬により元々の行動様式を阻害することなく、特定の行動をとる頻度を一時的に変化させられる可能性が示唆された。特定の行動中における神経活動計測の効率向上や、BMIシステムへの適応の促進に利用できると考えられる。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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