生体医工学
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抄録
呼吸インピーダンスの時系列データ詳細解析
北岡 裕子玄山 宗到平田 陽彦木島 貴志田淵 寛人星野 朋子
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2017 年 55Annual 巻 3AM-Abstract 号 p. 158

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抄録

【背景】呼吸周期中は、呼吸筋の活動によって胸腔内圧が変動し、それに伴い、気流量、肺容積、肺胞内圧、そして呼吸インピーダンスが変動する。また、心拍によって心臓周囲の気道が圧迫され、インピーダンス値に影響を与える。したがって、呼吸インピーダンスを詳細に解析するためには、胸腔内圧の変動と心拍変動を同時に知る必要がある。【方法】健常ボランティア8名に対し、異なる呼吸モード(陰圧呼気と陽圧呼気)で、モストグラフ(チェスト社)と指尖容積脈波を同時記録し、気流量、R5、X5と容積脈波の時系列データを得た。【結果】R5とX5のスパイク状の変動が心拍に概ね一致していることが全例で確認された。MostGraphの計測時間間隔が0.25秒であるため、直接的な心拍のふぃつたリングは不可能だったが、吸気呼気ごとのデータをそれぞれの持続時間についてアフィン変換し、呼吸周期平均化時系列データを算出したところ、心拍の影響を概ね除去することができた。陰圧呼気モードの際は、呼気中に容積脈波の波高が増加し、X5が低下した。反対に、陽圧呼気モードの際は、容積脈波の波高が減少し、X5が増加した。陰圧呼気モードに限り、X5の呼吸周期変動から呼吸コンプライアンスを推算できた。さらに、R5の気流量依存性と肺気量位依存性、呼気時X5の気流量依存性と気流量補正値を組み合わせることで、閉塞性換気障害の細分類が可能であることを、阪大病院の過去症例の解析で確かめた。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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