生体医工学
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抄録
新規医療機器の開発・承認における課題:開発現場の視点から
佐々木 啓一
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 198

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抄録

演者は歯科のなかでも最も医用材料・機器を頻用する補綴歯科・歯科インプラントを専門とし、以前から材料や医療技術に関わる研究に従事してきた。しかし自らが主体となって予算獲得し、材料・機器開発、承認申請に直接、関わるようになったのは、それほど古くはなく、平成22年度補正予算で経産省から出された課題解決型医療機器開発プログラムに申請・採択された時からである。以来、いくつかの開発プロジェクトを主導し、2つの製品は上市に至り、現在もある機器の医師主導型検証的治験を実施中である。これらの経験を通して、今、医療機器開発はPMDAとの協働作業であると強く感じている。企業との連携はもちろんのこと、公的予算がなければ、市場規模の小さな、また販売数が限られる医療機器開発には進まない。しかしそれ以上に、これまでにない原理・技術に基づく新規医療機器の承認に至るうえでのPMDAからの助言が重要となる。新規ということは、私どもが提示する技術の安全性・有効性の評価基準は未だないことを意味している。PMDAに新規技術を理解していただき、そのうえで開発側とPMDAが協働して、新たな合理的な評価方法ならびに評価基準を作り出していくことが必要であり、この点が医薬品ともっとも大きく異なるところである。今回の講演では、具体的事例を通して、上記について解説を加える。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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