生体医工学
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抄録
薬剤評価のためのin vitro微小血管モデルの構築
高橋 治子松永 行子
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 204

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抄録

ヒト培養細胞を用いた医薬品の有効性・安全性試験を可能とする新規評価系が求められており、この解決方法として近年注目されているのがorgan-on-a-chipとよばれるin vitro組織モデルである。その名のとおり、微小な臓器や組織がスライドグラスなどのチップ上に集積されたものを指し、マイクロ加工技術により、複雑で動的な生体の微小環境、構造および機能を再現する試みがなされている。我々のグループでは、マイクロニードル法によりコラーゲンゲル内に形成した微小血管デバイスを作製し、血管が関与する「疾患のみえる化」について研究を展開している。このような微小血管モデルは、血管内皮増殖因子(VEGF)を加えると血管新生挙動を示し、また、炎症物質に対して、血管のバリア機能を変化させるなど、生体で起こる血管の状態を再現することができる。生体外モデルの利点は、その疾患現象に関わる細胞や物理的・化学的因子を任意に配置・変化させ、生体の中でのブラックボックスを細胞レベルで可視化できる点である。本発表では、微小血管組織の構築とイメージング技術との組み合わせによる、血管透過性および血管新生評価系について紹介する。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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