生体医工学
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抄録
Critical slowing downの兆候としての心拍ゆらぎのランダム成分の増加
吉田 豊湯田 恵美古川 由己早野 順一郎
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 212

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抄録

心拍数(HR)変動の分析は、HR変動の減少が有害な臨床事象のリスク増加であることを実証している。これは、遅い変動の増加が有害事象の早期警告信号であることを示す臨界減速の概念と明らかに矛盾する。本稿では、自己回帰(AR)モデル分析を用いて、HR変動のランダム成分を定量化する方法を提案する。正弦波変動とランダムノイズからなるシミュレーションデータを解析すると、AR残差の全分散に対する相対的な分散は、ランダム成分の相対量を反映することが明らかになった。この方法を0歳から100歳までの3604人の被験者の実際のHR時系列データに適用すると、HR変動のランダム成分の割合は人生の始めと終わりに増加することがわかった。我々は、洞調律を有する心不全患者において、ランダム成分の割合が著しく増加していることも見出した。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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