生体医工学
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抄録
手首の体動による影響を低減可能な血圧脈波計測デバイス
深堀 俊土肥 徹次
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2017 年 55Annual 巻 3PM-Abstract 号 p. 244

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抄録

日常生活中での高頻度な血圧計測のためにトノメトリ法による血圧計測が行われている.しかし,トノメトリ法は手首の体動や慣性力,高低差変化などの影響が大きいという問題がある.そこで,本研究では血圧脈波を計測するセンサと手首の体動を計測するセンサの2つを使用し,脈波計測センサから体動計測センサの値を減算することで手首を動かすことで発生するノイズの低減を行う.脈波計測センサでは脈波にノイズが重畳するため,体動計測センサで計測したノイズを減算することで較正ができると考えた.そこで,3軸調整機構を持った血圧脈波計測デバイスを用いて脈波計測実験を行った.まず,手首の橈骨動脈において脈波計測としての適切な計測箇所を調べるために橈骨動脈上の7箇所で脈波計測を行った.実験の結果,中心3箇所において脈波振幅の平均が212 mN,193 mN,172 mNとなり,計測に適した箇所だと判断した.次に,中心3箇所のうちの1箇所で手首を前後に体動させた時の血圧脈波と体動によるノイズを計測し,血圧脈波からノイズの値を減算することで較正した.その結果,脈波の振幅の標準偏差が49.6 mNから30.4 mNとなり,38.7%減少した.以上より,手首の体動時の血圧脈波を計測し,血圧脈波から体動時の影響を減算することで,手首を動かした際に発生するノイズを低減することが可能であることを示した.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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