2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 267
発表者らは、光増感反応による一重項酸素産生を心筋組織の電気伝導遮断に応用する着想を得て、基礎研究から機器開発までを手掛けている。既に、大型実験動物を用いた実証的実験を150例以上行っている。電気伝導を経カテーテル的に治療するカテーテルアブレーションは、大規模試験による有効性検証が進み、不整脈治療として普及および適用を拡げつつある。電気伝導遮断方法は、熱あるいは冷凍融解による組織壊死を利用しているが、それぞれの原理的問題による治療の課題がある。発表者らは、上記反応を応用した非熱的な酸化による治療原理を考案した。この治療原理では光増感反応は主に間質で起こし、細胞膜上のイオンチャネルに直接作用するので、必要とされる即時的な電気伝導遮断が可能である。既存の仕組みに頼らず、大学発ベンチャーを中心とした取り組みで、この敷居の高い治療法の開発を行っている。