生体医工学
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抄録
ハイブリッドモックシステムを用いた循環状態の異常の再現と制御法の評価
大泉 健太郎田中 明吉澤 誠白石 泰之山家 智之本村 禎
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 269

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抄録

補助人工心臓を自己心に同期させて駆動させた場合,回転数一定制御に比べていくつかの利点が存在することが報告されている.しかし,拡張期に回転数を上げることで吸着,回転数を下げることで逆流といった異常事態が発生するリスクが存在する.これらの異常事態における臨床治験や動物実験の前段階の評価法として,計算機シミュレーションや模擬循環系が用いられているが,それぞれに利点欠点がある.そこで本研究では,計算機シミュレーションと模擬循環系を組み合わせたハイブリッドモックシステムを用いて,様々な異常事態発生時における人工心臓の制御法を評価することを目的とした.人工心臓の回転数を上げることで生体シミュレータ内の左心室容積が極端に小さくなった場合に,人工心臓のinlet側の圧力に負圧を発生させることで吸着の模擬を行った.その他にも,ポンプ内の逆流や生体側の異常として心機能の低下の模擬を行った.また動物実験を行い,これらの模擬した異常事態の振る舞いとの比較を行った.その結果,このシステムを用いて模擬した異常事態と動物実験の結果が同様な振る舞いをすることが確認された.これにより,実際の血液ポンプおよびコントローラを用いて異常事態発生時の制御法の調査や評価が可能である.一方で,発生圧の変化には限界があること,ポンプの前負荷および後負荷の追従制御に若干の遅れがあることが課題である.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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