生体医工学
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抄録
てんかん発作初期段階における偏相関関数を用いたコネクティビティ解析
田中 綜一郎吉田 久宮内 正春中野 直樹加藤 天美
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 280

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抄録

本研究では難治性側頭葉てんかん患者の皮質脳波を用いて、てんかん発作初期段階における異常興奮脳波のコネクティビティ形態推定を行った。吉岡らの研究(2015)では、相互相関関数を用いた推定法と偏相関係数による推定法の提案・比較が行われており、後者の推定方の方がコネクティビティ形態を正確に捉えることができる可能性が示唆された。しかし、偏相関係数による推定法は時間遅れを考慮していない。そこで、本研究では偏相関関数によるコネクティビティ形態推定法の提案を行った。また、相互相関関数による推定結果と比較することでより正確なコネクティビティ形態を推定できると考え両者の比較を行った。その結果、両者の推定結果で側頭葉内側と前頭葉とのコネクティビティと側頭葉内側と側頭葉外側とのコネクティビティが見られた。また、偏相関関数による推定結果のみ側頭葉外側と前頭葉とのコネクティビティが見られた。今回解析に用いたデータにおいててんかん焦点は海馬にあることが分かっている。これらのことから、異常興奮脳波は海馬から側頭葉内側から前頭葉へ伝播し、そこから側頭葉外側へ、そして側頭葉内側へと伝播していくと考えられる。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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