生体医工学
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抄録
てんかん患者および健常者の前部帯状回を中心としたネットワーク解析
杉野 寿樹吉田 久宮内 正晴中野 直樹加藤 天美
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 282

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抄録

無言無動症は行動意思の欠如がみられる症状である。そこで我々は、 DMN の中で行動意思に関係し、運動野と体性感覚野に結合を持つ前部帯状回を関心領域に設定し、脳梁離断手術を受けた 5 名のてんかん患者にROI-based functional connectivity analysesを行なった。その結果、てんかん患者 5 名中、脳梁離断手術によって急性離断症候群を発症した 2 名中1 名は、手術前には運動野と体性感覚野に相関がみられたが、手術後にはこの2つの領域への相関が消失するという知見を得た。この知見を考察するために、一般の健常者の脳 fMRI データに対して同様の解析を行い比較した。その結果、一般の健常者では前部帯状回の運動野と体性感覚野への相関が見られたことから、上述の知見が脳梁離断手術によって急性離断症候群を発症する場合に起こるものと考えられ、急性離断症候群の発症は前部帯状回の運動野と体性感覚野への結合動態の消失が原因ではないかと考えられる。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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