生体医工学
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抄録
炭素材を使った装身具が持つ人への生理的・心理的影響
小塙 弘樹島田 尊正大木 武彦
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 284

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抄録

炭素には遠赤外線放出の効果があることが知られている.遠赤外線は温熱効果を持ち,暖房器具などで広く応用され,医療分野では慢性疲労症候群,慢性の疼痛,けがの治療など幅広く用いられている.同様の遠赤外線放出効果を持つ絹雲母は医療分野でも痛みの軽減などの健康増進を目的に用いられており,絹雲母を使用したベッドを用いることで月経痛が軽減されるという報告がある.そのため,装身具に遠赤外線放出の効果を持つ炭素材を用いることで,他の金属やプラスチック等の素材で作成された製品に比べて,温熱効果が生理学的・心理学的な状態の改善をもたらす可能性がある.本研究では,通常装身具と炭素材装身具を被験者に身につけてもらい,生理学的影響及び心理学的影響について調査を行った.装身具として眼鏡と腕時計(株式会社 大木工藝製)を用い,肌に接触する部分に炭素材を用いた場合と,通常の素材を用いた場合で脳波のα波,β波,心拍周期の変動,唾液アミラーゼ活性,鼻部差分温度,血流による生理学的評価,心理アンケートによる心理学的評価を実施した.計測中,被験者は内田クレペリンテストを実施することでストレスを与えられた.その結果,通常の素材を用いた場合に比べ,炭素材を用いた場合に,生理学的評価においてβ波パワーの有意に低下し,ストレスが低下することが確認された.また,心理学的評価において緊張-不安が有意に低下することが確認された.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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