生体医工学
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抄録
光学計測を用いた心内膜側におけるスパイラルリエントリ現象
川島 圭太郎谷田部 純弥富井 直輝柴田 仁太郎山崎 正俊本庄 晴郎荒船 龍彦
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 295

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抄録

心室頻拍(VT)および心室細動(VF)は心臓突然死につながる重篤な不整脈である.これらの成因は,心筋組織を伝播する渦巻き状の興奮波が異常に旋回し続けるスパイラルリエントリ現象(SWR)である.一旦発生した不整脈を止めるためには,異常な興奮波をリセットして正常洞調律に戻す電気的除細動治療が最も有効であるが,通電刺激が却ってVFを誘発する催不整脈性や通電に伴う苦痛などの課題があり,低侵襲かつ確実な不整脈治療を行う除細動器手法の開発が求められている.そのためには未だ発生機序の不明な点の多いSWRの解析が必要である.近年,3次元心室壁モデルを用いたシミュレーション研究により,貫壁性心室較差の存在がSWRの興奮伝播ダイナミクスに影響を与えることが報告されている.しかし動物実験において,心外膜側におけるSWR計測に関する研究は報告されているが,心内膜側におけるSWRの計測と解析は十分に行われていない. そこで本研究では心室内膜側における興奮伝播計測システムの開発と,それを用いたSWRの計測と解析を目的とした.ウサギ摘出心から作成した心標本の左心室を切り開き,膜電位感受性色素にて染色した.主波長 520[nm]の励起光を心標本に照射し,放射蛍光をロングパスフィルタ(600[nm])を介して高速度カメラ(512×512[pixel],1000[fps])で撮影することで心内膜側の興奮様態を計測した.計測後,解剖学的構造によるSWRの挙動について解析したので報告する.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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