生体医工学
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抄録
ランニング速度による心臓自律神経系活動の評価
井上 貴文中村 英夫上野 遥
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2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 300

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抄録

心臓は自律神経によって支配されており,心拍数は心臓自律神経系活動の交感神経と副交感神経の活動によって増減が調節されている.運動終了後はエネルギーの消耗を低下させるために,交感神経より副交感神経活動が活発に活動すると考えられる.そこで本研究では,Tone-Entropy法を用いてランニング中と運動終了後の回復期について心臓自律神経活動の反応を評価し運動習慣の有無が回復期の心臓に及ぼ影響を考察することを目的とする.トレッドミル運動時の心拍数を20分間測定した.回復期の反応を測定するため安静時においての心拍数を計測する. 被験者は運動習慣有無で分け各10人ずつを計測した.アンケートにて身体情報を確認し実験の説明を行った.解析方法はTone-Entropy法を用いて解析を行った.運動習慣ありとなしでのEntropyは測定開始から運動終了の20分までは変化はないが,安静時開始から安静時終了まででは運動習慣ありではEntropyが1.99bitから3.28bitになり,なしでは2.13bitから2.21bitとなった.運動習慣がある人の方が最大心拍数は低く,心臓自律神経が活発なので,運動習慣がない人よりも心臓に負担が少ないと考られる.回復期の心臓自律神経系活動は運動負荷が上昇すると差があり,運動習慣の有りの被験者の方が運動習慣の無い被験者よりも活動が高かった.この結果から回復期において運動習慣がある被験者が副交感神経活動が優位であり心臓への負担は少ないと評価出来る.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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