2017 年 55Annual 巻 4AM-Abstract 号 p. 314
外的・内的事象に関連して生じる事象関連電位 (ERP) のP300成分を用いて外部機器を操作するBrain-Machine Interface (BMI) の研究は視覚刺激を用いているものが主流である.しかしながら,モニタが必要,視覚障害者は利用できないなどの課題があるため,近年は聴覚注意を用いたBMI (聴覚BMI) が研究されている.先行研究として複数のスピーカーの方位を,空間的な聴覚注意を用いたP300成分から推定する研究や,異なる種類の音刺激のうち,注意を向けていた刺激をP300成分から推定する研究があるが,前者はBMIの携帯性に劣る一方で,後者は刺激と機能の対応を記憶する必要がある.そこで,本研究では携帯性に優れ,単一の刺激を用いた聴覚BMIの開発を目指し,両耳聴音に対する聴覚注意に関するERPについて検証することを目的とした.実験ではイヤホンを用いて2 kHzの純音を被験者の右耳,左耳,両耳のいずれかに等確率で呈示した.被験者は左右どちらか一方に注意を向け,注意を向けた方に刺激が呈示されたときにその回数をカウントした.右耳または左耳の刺激に注意を向けた条件のそれぞれにおけるERPを解析し,注意を向けた音呈示に対してP300が確認されるかどうか検討した.