生体医工学
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抄録
ボールミリング法で改質したβ-TCPセメントのin SBFとin vivoでの硬化後の性質
べ 志英伊田 百美香関根 一光河野 文昭浜田 賢一
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2017 年 55Annual 巻 4PM-Abstract 号 p. 376

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本研究は,臨床に適した注入性を持ちながら高強度を示すリン酸カルシウム(CPC)を開発することを目的としており,今回はCPCセメントのin SBFとin vivoでの硬化後の性質を評価した.β-3リン酸カルシウム粉末(コントロールTCP:cβ-TCP)をボールミリングによりメカノケミカル的に改質した粉末(改質TCP: mβ-TCP)を作製した.両粉末はCaCl2水溶液次いでNaH2PO4 水溶液と練和し,粉液比は cβ-TCP は2.0, mβ-TCPは 2.5とした.硬化体の機械的特性は圧縮強さ(CS)によって調べ,その後X線回折法(XRD)で構造を解析した(set in air).in vivo実験下ではratの背中の内部筋層にCSの型のまま埋入して取り出した.さらに,硬化後の試料中の析出物の情報を得る目的で、擬似体液(SBF)中に浸漬させた.in SBFとin vivo実験後,set in airと同様に万能試験機でCSを調べた後,硬化体をすりつぶし, XRDで構造を解析した. set in air の結果, mβ-TCPセメントは臨床に適した注入性を持ちながら高い強度を持ったセメントが得られた.mβ-TCP硬化体のin SBFとin vivoでのCSの値の有意差はなかったがset in air時よりは低かった.しかし,β-TCPよりは非常に高い強度を持ち,動物体内でも高い強度を保つことができた.XRDのプロファイルは set in air ではβ-TCPピークは全てハイドロシアパタイト(HAp)に変わった.in SBFとin vivoではHApとβ-TCPのピークがみられた.

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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