生体医工学
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抄録
ラット末梢交感神経束へのmicrostimulationによる糖取り込み亢進効果
鈴木 遼山口 陸佐藤 大介楠 正隆中村 孝夫
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 394

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抄録

我々は末梢交感神経系の電気刺激による糖代謝制御の可能性について検討している。先行研究では、ラット片側坐骨神経内交感神経束への電気刺激(microstimulation(MS): 幅0.25 msのパルス10個を2回/sで印加)が刺激開始後30sに、末梢組織での糖取り込み亢進に由来すると考えられる一過性の血糖値低下を、血漿インスリン濃度(PI)の変化を伴わずに惹起した。しかしながら、それが一過性の効果か否か、並びにその定量性については不明であった。そこで本研究では、定常的な糖取り込み機能の一般的な定量的評価法の一つであるeuglycemic clamp(EC)を用いて、それらについて検討した。麻酔下のラット片側坐骨神経からmicroneurogram法によって交感神経信号を導出した後、その微小電極を介してMSを行って交感神経活動を亢進させ、刺激開始前、刺激中及び終了後の糖取り込み能を、ECのグルコース注入速度(GIR)で評価した(n=9)。その結果、GIRはMSによって有意に増加した(p<0.01)。また刺激停止後のGIRは低下する傾向にあったが、約1時間後でも刺激開始前に比べて依然として有意に高かった(p<0.05)。これらのGIRの測定中、PIに大きな変動はなかった。これらのことは、MSによる糖取り込み亢進が一過性ではなく、定常的かつ非インスリン依存的であって刺激終了後にもある程度維持される可能性を示唆している。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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