生体医工学
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抄録
単一ネフロン糸球体濾過量の早期糖尿病ラット生体での測定
仲本 博
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 442

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新しいモダリティとして共焦点顕微鏡が21世紀に入り普及し、蛍光抗体法を併用することで、生命科学の分野で様々な成果産み出している。従来のラットでのSNGFR(single nephron glomerular filtration rate,単一ネフロン糸球体濾過量)の測定は、micropuncture法であった。糸球体、近位尿細管、遠位尿細管を穿刺して各部位での溶液の採取が必要であり、生体での測定は不可能であった。本研究の目的は、共焦点顕微鏡を用いてラット生体においてSNGFRを計測し、糖尿病初期におけるSNGFRの増加の有無を検証する事である。実験にはDMラット(n=3)とControlラット(n=3)を使用した。麻酔下のラットの腎を剖出し観察窓を設け、尿細管腔を観察しながらTexas Redで標識した10kDaデキストランを尾静脈から投与することで原尿を染色した。ビデオ画像から、尿細管の任意の2点間を染色液が流れる体積を1分当たりに換算しSNGFRを算出した。ControlラットとDMラットのSNGFRの平均値は、それぞれ19.1± 0.2 nl/min、28.1± 0.2 nl/minとなり、従来の値と同じオーダーであった。DMラットのSNGFRが有意に高値であることが判明した(p <0.05)。糖尿病早期に認められる糸球体過剰濾過を、簡便に測定出来ることを実証することが出来た。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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