生体医工学
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抄録
心筋細胞の集合体に対する局所的機械刺激の影響
新井 晋上原 貴宏露木 彩葉石田 研太郎三井 敏之
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2017 年 55Annual 巻 5AM-Abstract 号 p. 444

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抄録

プローブによる機械的刺激を、心筋細胞の集合体に対して付与した。刺激は、周期的でかつ心臓の拍動の収縮弛緩のモーションを模した動きをするように制御した。本研究では、室温環境下で短時間の、培養環境下では長時間の刺激実験を行った。室温環境下では、集合体は刺激に敏感に反応し、自律拍動の拍動間隔が劇的に変化した。それとは対照的に、長時間の刺激実験では、刺激開始から24時間で刺激周期に拍動が同期化していく現象が見られた。興味深いことに、同期化までのプロセスにおいて、集合体の拍動間隔はしばしば周期的刺激に反抗して大きく乱れる期間と、乱れが少なくなる期間を交互に繰り返した。刺激を付加していないサンプルでは拍動間隔が大きくなっていくが、速い刺激を付加し続けたサンプルでは拍動間隔はほとんど変化しないものが多く、中には拍動間隔が小さくなっていく振る舞いをするサンプルもあった。最後に、培養環境下での長時間の機械的刺激による生物学的応答についても議論する。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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