生体医工学
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抄録
カラー照明を用いた空間の評価のための心電図測定
田中 元志寺田 顕麗齊藤 勝俊新山 喜嗣
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2017 年 55Annual 巻 5PM-Abstract 号 p. 474

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抄録

ヒトの生活シーンに応じた快適な照明空間の構築が求められている。心電図(ECG)から得られるRRIとストレスの関連の検討は多く,快適性の評価にRRIの利用が考えられる。本研究では,カラー照明を用いた空間を対象にして,心地よさについての主観評価試験とECG測定を行った。有機ELパネル6枚のカラー照明Aと,1枚の照明Bを用意した。被験者の前方と両脇を高さ1.8 mの白板で囲い,補助灯としてLED照明を長手方向の両壁中央に下向きに設置した(中央での照度約3.5 lx)。被験者正面の壁中央(距離約2.7 m)に照明Aを,壁の両隅床上に照明Bを配置した。補助灯を常時点灯させ,カラー照明を消灯/点灯/消灯(各約100 s)させたときの脳波を,標本化周波数1 kHzで取り込んだ。照明の色を8色変えて,各々についての心地よさを7段階で主観評価させた。被験者は健康な男性12名(20~55歳)であり,同意書を得たうえで測定した。RRI時系列からRMSSD,およびLF成分(0.015~0.15 Hzのパワー)とHF成分(0.15~0.4 Hzのパワー)の比LF/HFを求めた。5つの色の場合については,心地よいと評価した被験者のうち半数以上においてLF/HFが減少し,RMSSDが増加した。副交感神経優位となる(リラックスを示唆する)所見であり,カラー照明を用いた空間の評価へのRRI利用の可能性が示唆される。

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© 2017 社団法人日本生体医工学会
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