2017 年 55Annual 巻 5PM-Abstract 号 p. 483
患者のQOLの観点から,失われた乳房形状を再現する乳房再建術が癌治療と同時に実施されている.しかし現在の乳房再建術において再建乳房の三次元形状に関する定量的な評価指標が確立されていないことから,術中・術後の再建具合について客観的な評価が困難という課題がある.そこで我々は, KinectV2センサー(Microsoft社)と3D画像処理を用いた定量的な乳房形状評価指標の提案と,この指標を導出し,形状差分画像として可視した情報を患者体表に術中に提示する手術支援システムを開発することを目的とした.術前・術中・術後に,Kinectを用いて乳房形状を3D計測し,その後に計測した乳房形状データを細かくグリッドに分割して体表座標上に仮想マーカを設置し,術前と術中・術後のボリューム差分を求める.ここでボリュームが増加している箇所を赤,減少している箇所を青,変化がない箇所を白のグラデーションで塗りつぶしを行うことで得られるカラー2Dマップを形状差分画像として出力する.さらに,術前術後の差分情報をヒストグラムとして定量的に術者に提示する.形状差分画像は,導出後プロジェクタにて患者体表面に投影され,術者にとってシームレスな提示を行う.本研究においては,本システムにより導出された結果を医師による再建結果とオフラインにて比較,検討を行った.