生体医工学
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微小気泡の超音波ドプラ画像解析に基づく圧力計測法の研究
冨成 直紀土肥 健純桑名 健太
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 111

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抄録

近年,超音波診断装置の性能向上により,胎児期に発生する疾患の発見が可能となった.胎児期疾患は胎児期に治療を行うことで出生後の障害を抑制できることが報告されており,胎児期治療は今後の発展が期待されている.胎児期治療後の経過観察において胎児は母体内にいるため,体外から母親と区別して生体情報を計測することは難しい.そのため胎児にセンサを取り付けて計測を行う研究がなされているが,センサの生体適合性,電力供給の問題がある.そこで本研究では微小気泡を含む感圧モジュールの超音波ドプラ画像解析に基づく圧力計測を基盤とした生体情報計測法を提案し,圧力計測法の原理確認を目的とする.提案手法の実現には超音波診断装置と微小気泡が封止された感圧モジュールを用いる.感圧モジュールは体内に埋植され,体内の圧力変化をモジュールの薄膜部を介し,内部の空間に伝える.圧力変化したモジュール内部を超音波診断装置で撮像すると,圧力変化に伴う微小気泡の挙動変化により超音波画像の輝度値に変化が生じる.この輝度値変化を画像処理により解析し,圧力を推定する.本演題では管路内に微小気泡を封入し,管路内圧力を変動させることで感圧モジュールが圧力を受けた状態を模擬し,超音波パルスドプラ画像の輝度値解析を行うことで原理確認を行った.その結果, 0-20 kPaの圧力範囲において,高輝度値領域の画素数が圧力増加に伴い直線的に増加することを確認した.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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