生体医工学
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周期成分分析を用いた脈波抽出と末梢血行動態のウェア”レス”モニタリング
田中 明熊谷 岬吉澤 誠
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2020 年 Annual58 巻 Abstract 号 p. 155

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抄録

顔などの毛細血管の走行が多い皮膚の画像から得られる映像脈波は,非接触で脈波を計測できる方法として注目されている.また,映像脈波は非接触計測可能なばかりでなく,多点同時計測もできるという利点を持つ.したがって,映像脈波が接触型の容積脈波と同様に血行動態に関する情報を有していれば,あたかも無数の容積脈波センサを体に装着していることに相当し,今後新らたな血行動態評価指標の創出も期待できる.これまでに我々は,周期成分分析を利用した新たな脈波抽出方法を提案し,顔以外の比較的毛細血管の走行が少ない部位においても映像脈波を従来法よりも高精度で抽出できることを示した.姿勢変化や温熱負荷等によって末梢の血圧や血管抵抗を変化させた際の複数部位の映像脈波を算出し,いくつかの脈波解析手法を適用した結果,指標のいくつかは血行動態の変化に応じて特徴的な伝播特性の変化を示し,末梢血行動態の変化を非接触で得られる可能性が示唆された.一方で,瞬時心拍数はPPGから得られる値に比べて誤差が大きく,心拍数の揺らぎ解析のためにはさらなる改善が必要なことも明らかとなった.今後,ノイズ除去や照明の方法も考慮し,計測をよりロバストに行うための改善を行う予定である.

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© 2020 社団法人日本生体医工学会
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